<各回講義予定>
第1回:ファイナンス理論の概要と企業価値 講師:鈴木 一功氏
ファイナンス理論では、投資家から見た資産、証券、企業といった投資対象の価値をどのように計算するかを考えます。投資家が、どのように企業の価値を算定しているかを理解することは、企業が効率的な資金調達を行うために有用です。本講義では、投資家が企業や事業の理論的価値を計算するための基本となる、キャッシュフローとその現在価値を求めるための割引率(資本コスト)について、実際の上場企業を例にして解説します。また、こうした理論が、これから8回の講義で取り上げる、様々な取引にどのように関係しているのかについても解説します。
第2回:コーポレート・ガバナンスと企業価値 講師:吉村 一男氏、鈴木 一功氏
コーポレート・ガバナンスは「企業統治」ともいわれ、株主が受託者である経営者を監督していく仕組みのことです。政府が主導したコーポレート・ガバナンス改革によって、企業間の株式持ち合いが減少したものの、いわゆる「物言う株主」が急増し、経営者は企業価値を意識した経営をせざるを得ない状況になっています。そこでこの回では、株主総会における株主提案、敵対的M&A、M&Aにおける買収価格のつり上げ、株主訴訟などのケースを通じて、株主は経営者に何を求め、経営者は株主にどのように向き合うべきかについて考えてみたいと思います。
第3回:CVCとスタートアップのファイナンス 講師:樋原 伸彦氏
事業会社においても、スタートアップ企業においても、独自のイノベーション実現のためのファイナンスには色々なロードマップがあり得ます。昨今注目を集めるコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)もその一例です。通常のVCとの対比も交えながら、事業会社の視点及びスタートアップ企業の視点の両方から議論したいと思います。グローバルかつ実践的な観点から解説します。 自身の研究や経験をもとに、エコシステム全体の問題にも目配せしながら、直近の状況が伝わるような講義にしたいと考えています。
第4回:日本企業のM&A~成功と失敗(ケーススタディ) 講師:服部 暢達氏
日本企業による外国企業のM&Aは現在バブル期・ネットバブル期に続いて3回目のブームを迎えています。しかし、過去の日本企業による海外買収案件は「失敗」と評価されるケースが非常に多いことが事実です。本講義では、過去の具体例を多数考察し、日本企業が何故失敗するのか、成功するための必要条件は何か、をM&Aアドバイザーの第一人者として多数の大型案件を手掛けた講師が解説します。
第5回:フィンテックと貨幣・金融の未来 講師:斉藤 賢爾氏
人類史において、テクノロジーは常に金融の形態に影響を及ぼしてきましたが、フィンテックはその中でもインターネットに代表されるデジタルテクノロジーを用いて金融の在り方を変容させていく一連の動きであると言えます。この講義では、ブロックチェーン技術の光と影、中央銀行デジタル通貨などの例を挙げながら、金融面におけるデジタルトランスフォーメーションの可能性とその影響を探ります。
第6回:東証市場改革のインパクト~取引所の役割 講師:宇野 淳氏
東証が2022年4月から実施する新市場区分が上場企業に与えるインパクトを検討します。今までの東証1部というブランドが、「プライム銘柄」というブランドに置き換わります。見直し後のコーポ―レート・ガバナンス・コードの全面対応が求められ、「流通株式比率35%」のプレッシャーで、新しい株主構成が株価、株主総会、敵対的買収対策などとも関係してきます。「そもそも、取引所上場は企業にどんなメリットを提供してくれるものなのか?」というところから考えていきます。
第7回:ポートフォリオ理論と不動産投資の実際―インフレと金利上昇にどう向き合うか?― 講師:川口 有一郎氏
ファイナンスは理論と実務の両面で不確実性が中心的な役割を担っています。そのため、確率的なアプローチを身につけることがこの分野の1つの原則です。本講義ではポートフォリオ・マネージャーのREIT投資問題(株式と不動産の双子の投資問題)を例として、金融と不動産における確率的なアプローチについて解説します。そこでは、米中企業の高レバレッジ体質、高騰を続ける不動産価格、ESG規制とインセンティブ、および暗号不動産の出現といったいま直面する不確実性について考えます。
第8回:事業再生とファイナンス 講師:奥 総一郎氏
事業再生局面では金融機関や株主は往々にして損失を被ることになり、事業再生のために不可欠な新規資金調達は困難を極めます。こうしたファイナンシャルリスクが極限的に高まった状況において、事業存続のためにいかに信用力を改善して資金を確保するかについて、その前提となる事業再生プロセスの大局観と合わせて解説することで、ファイナンスに潜むリスクについて少しでも具体的に体感していただければと思います。
オンラインネットワーキングパーティー
ビジネススクールで学ぶ価値のひとつは貴重なビジネスネットワークの形成です。8科目一括申し込みの方には、「ネットワーキングパーティー」にご参加いただけます。教授陣や、学びの同志であるほかの参加者とのオンラインでの交流の場をご用意いたします。
<受講対象者>
ファイナンス分野の主要テーマについての概要やその実務上の意義、問題点を概観し、「お金の流れ」の視点からビジネスを捉えられるようになりたい方
<開催日>
2023年1月17日(火)~3月14日(火)
<受講料>
各回:8,250円(税抜き7,500円)、全8回:52,800円(税抜き48,000円)
詳細はこちらをご高覧ください。